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ーステンレスの溶接加工方法とは?特徴や注意点と合わせて解説ー
2024.04.25
溶接とは、金属同士を溶かしてつなぎ合わせることです。サビなどに強く、耐久性に優れた「ステンレス」は、機械の部品にはもちろん、建築物などにも幅広く活用されています。
そんな使い勝手が良いステンレスですが、溶接すると高温によるヒビ割れが生じやすく、加工が難しいというデメリットがあります。しかし、適切な溶接方法を理解したうえで選択することで、溶接不良を起こしにくくなるでしょう。
そこで今回の記事では、施工のプロが「ステンレスの溶接加工方法」についてわかりやすく解説します。
溶接時の注意点についても説明するので、ぜひ施工する際の参考にしてください。
ステンレスの溶接加工の特徴
まずステンレスとは、鉄に一定量以上のクロムをふくんだ「合金鋼」のことを指します。ステンレスは強度に優れ、耐食性や耐熱性も高いです。
ステンレスを始めとした金属は、溶接や切断などの作業を通じて必要な形に加工する必要があります。「溶接」とは代表的な金属加工のひとつで、金属同士を溶かしてつなぎ合わせることです。
ステンレスは含まれる素材の種類や含有量によって特徴が大きく異なるため、特徴に合わせた溶接をしなければ耐久性に問題が生じることも少なくありません。そのため、溶接などの加工をする際には、適切な方法を理解したうえで選択する必要があるでしょう。
ステンレスの溶接加工方法5選
ステンレスの溶接方法にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が大きく異なります。ここからは、5つのステンレスの溶接加工方法と、その特徴について詳しく解説します。
1.MIG溶接
「MIG(Metal Inert Gas)溶接」とは、シールドガスに不活性ガスを用いる溶接方法で、ガスシールドアーク溶接の一種です。溶接の際に、空気との接触による化学反応を防ぐためシールドガスを吹きかけ、接合する部分の強度低下を防止します。
ガスシールドアーク溶接は、溶接時に出るヒューム(高温になることで出る煙のような物質)が少ないため、身体への影響が低いことがメリットです。
さらに、MIG溶接では電極に溶加材を兼ねた金属を用いて、電極を溶かして溶接する点が特徴の一つ。スピード感のある溶接作業が可能なので、ステンレス溶接で幅広く使用され続けています。
2.TIG溶接
「TIG(Tungsten Inert Gas)溶接」とは、不活性ガス溶接を指します。火花を飛ばさず安全に、ステンレスやアルミなどのさまざまな金属の溶接に対応可能な、アーク溶接の一種です。
極には「タングステン」と呼ばれる金属、シールドガスにはアルゴンやヘリウムなどの不活性ガスを使用します。溶接箇所は不活性ガスで覆われており、アークも他の方法と比較すると安定しているため、スパッタ(溶接中に飛散する金属粒)はほとんど発生しません。
精度が高くて仕上がりも美しいという点は、TIG溶接ならではの特徴です。ただし、溶接に時間がかかることや、電極にタングステン、シードルガスにアルゴン・ヘリウムを使用するため、コストがかかるというデメリットがあります。
3.被覆アーク溶接
「被覆アーク溶接」とは、母材と同材質の被覆アーク溶接棒と呼ばれる金属棒を電極とし、その間に形成されるアークを熱源とする溶接方法です。
古くから用いられ続けている方法で、比較的安価な設備でも施工可能です。また、すべて手作業で行えることから細かい設備にも向いており、現場では風などの影響を受けにくいというメリットがあります。
ただし、施工中は強い光と熱を発するので、保護メガネを用いた作業が必須です。それに加えて、フラックスから発生するスラグ(金属のカス)を溶接後に除去することで、仕上がりも美しいです。
4.レーザー溶接
光源を集光レンズで一点に集め、強力な光エネルギーによって金属を部分的に溶かし、溶接する方法を「レーザー溶接」といいます。
レーザー光は、アーク光に比べて発生する熱による影響が小さく、レーザー光をより小さく絞り込めるため、細かな溶接にも向いています。そのため、変形がわずかで、小さなゆがみなどが気になる部品には効果的です。
さらに、大気中で溶接を行うことができるので、フラックスや不活性ガスを用いる必要もありません。
5.抵抗溶接
「抵抗溶接」とは、溶接させる母材同士を加圧し、電気を通すことにより発生した熱を利用して施工する方法です。
他の溶接方法と比較すると強度が高く、作業スピードも早いというメリットがあります。そのため、強度や作業スピードが求められる、自動車ボディの加工現場などで使用される傾向にあります。
ステンレスの溶接加工は難易度が高い?
ステンレスは、素材の特徴や含有率の違いによって異なる3種類に分けられます。それぞれに適した溶接加工方法が異なるため、難易度が高いといわれることが多いです。
種類によって加工をする際の特徴や反応も異なるため、素材の特徴に加えて、溶接方法の特徴も理解しなければいけません。
また、ステンレスには一定の力を加えると硬くなる「加工硬化」という特性があります。強い圧力によって溶接を行う方法では元に戻すことができず、加工できないケースもあるのです。
さらに、溶接技術によっては歪みが発生しやすく、作業中にヒビ割れが起こるリスクもあります。以上の特徴から、加工時の技術だけでなく溶接後の熱処理などの技術面も必須となるため、ステンレスの溶接は難しいのです。
ステンレスの溶接加工をする際の注意点
ステンレスは耐久性や耐腐性に優れている金属なので、他の素材と比較しても溶接する機会は多いでしょう。ただし、ステンレスと別の金属を溶接すると、電位差によりステンレス以外の金属はサビてしまう可能性があります。
そのため、さまざまな種類の金属を溶接して一つの製品を作ろうとする場合、特徴やイオン化傾向などを把握して素材を選ばなければいけません。
まとめ
今回の記事では、ステンレスの溶接加工方法や特徴、注意点について詳しく解説しました。
ステンレスの溶接加工方法は、以下の5つです。
- ①MIG溶接
- ②TIG溶接
- ③被覆アーク溶接
- ④レーザー溶接
- ⑤抵抗溶接
ステンレスは含まれる素材の種類や含有量によって特徴が異なるため、特徴に合わせた溶接をしなければいけません。そのため、溶接などでステンレスを加工をする際には、適切な方法を理解し、選択する必要があるでしょう。
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