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ー空調配管の設置方法を徹底解説|準備・配管ルート・施工手順・品質確認までー
2025.10.10
空調配管の設置方法の全体像(まず押さえる流れ)
空調配管の設置方法は、現地調査→計画・設計→材料手配→配管施工→試験・断熱→仕上げ・引き渡しという順番で進みます。各工程で「安全・性能・メンテ性」を満たす判断が必要で、どれかを妥協すると将来のトラブルや光熱費の増加につながります。ここでは初心者にもわかりやすく、要点を順序立ててご紹介します。
現地調査で見るべきポイント
建物の構造(木造・RC・鉄骨)、既存の貫通部やシャフト、室内機・室外機の設置可能スペース、屋外の配管ルート、排水経路(ドレン)を確認します。騒音や振動の配慮が必要な場所、直射日光や雨の当たり方、近隣への配慮事項もこの段階で洗い出します。
配管ルートの基本設計
最短距離で曲がりを減らすのが基本です。高低差やメーカー指定の許容配管長を超えないようにし、点検口の位置や化粧カバーの納まりも同時に検討します。将来の増設・交換を見据え、分岐や接続部を点検しやすい位置に集約するとメンテ性が上がります。
必要な工具と材料の準備
施工品質は準備で決まると言っても過言ではありません。工具の精度が低い、あるいは不足していると、締付不良や漏れの原因になります。材料も仕様を満たし、同等品の混用リスクを避けることが重要です。
代表的な工具
パイプカッター、リーマー(面取り)、フレアツール、トルクレンチ、バキュームポンプ、マニホールドゲージ、窒素ボンベと減圧弁、リークディテクタ、水平器、電動ドリル、コアドリル、防振ゴム、配管支持金具、絶縁テープなどを用意します。
主な材料
被覆銅管(高圧・低圧ペア)、ドレン管(断熱付き推奨)、断熱材(必要厚と耐候被覆)、化粧カバー、貫通スリーブとシーリング材、配管固定クランプ、耐候テープ、フレアナット・継手、バルブ、必要に応じて配管化粧ボックスやドレンポンプを準備します。
設置場所の決め方(室内機・室外機・ルート)
機器の位置決めは、性能・静音性・メンテ性の三立を図る設計判断です。居住性に配慮しつつ、施工可能なクリアランスを確保します。
室内機の位置決め
吹出し気流が障害物に当たらないこと、点検・フィルター清掃のスペースがあること、ドレン勾配が取れることが条件です。天井埋込型は吊りボルト位置と天井下地の強度、点検口からのアクセスを確認します。
室外機の位置決め
背面・側面・上部の吸排気クリアランスを確保し、直射日光や高温の壁面から適度に離します。架台の水平を確実に出し、防振ゴムで振動伝播を抑えます。屋上やバルコニーでは風の巻き込みや落下物、排気が他室に回り込まないかも確認します。
貫通部の施工と防火・防水処理
外壁や床を貫通する際は、構造体や防火区画を損なわない施工が必須です。穴径はスリーブ外径に合わせ、配管との隙間はシーリングや耐火材で処理します。
コア抜きとスリーブ挿入
配管勾配と仕上がりを考慮し、外部に向かってわずかに下り勾配でコア抜きを行います。スリーブを挿入し、周囲は防水処理。雨仕舞いを意識して外側に水返しをつくると浸水リスクを下げられます。
化粧カバー・雨仕舞い
屋外露出部はUVに強い化粧カバーを用い、継ぎ目は水が差し込みにくい向きで納めます。ビス穴からの浸水を避けるため、コーキングやパッキンで処理します。
冷媒配管の加工・接続の手順
冷媒配管は精度が命です。切断、面取り、フレア加工、接続、トルク管理まで、一つひとつの正確さが漏れ防止と性能を左右します。
切断と面取り
パイプカッターで真円を保ちながら切断し、リーマーで内外面のバリを除去します。バリ残りはフレア割れや銅粉の混入を招くため、丁寧に処理します。
フレア加工とトルク管理
規定角度・寸法でフレアを作り、フレア面に傷や偏心がないか確認します。接続は規定トルクで締め付け、過不足を避けます。トルクレンチがない現場は不具合の温床ですので、必ず使用します。
ドレン配管の敷設と勾配
ドレンは漏水事故の主要因です。適切な勾配と通気を確保し、詰まりや逆流を防ぎます。断熱や固定方法も品質に直結します。
勾配と固定
一般的に1/100〜1/50の下り勾配を取り、長距離では途中で点検口や通気を設けます。支持金具でたわみを防ぎ、直射日光下では断熱材と耐候被覆を施します。
臭気・逆流対策
トラップの封水を確保し、長期休止時の蒸発に備えて補給機構や臭気止め弁を検討します。屋外排水口は防虫キャップを設け、落葉や砂の侵入を防ぎます。
気密試験と真空引き・窒素ブロー
配管接続後は、窒素加圧での気密試験→漏れ確認→真空引き→真空保持の順で実施します。水分や空気の混入は機器寿命と性能を著しく低下させます。
窒素加圧とリークチェック
規定圧まで徐々に加圧し、圧力降下の有無を監視します。継手部は発泡液や電子式リークディテクタで確認し、微小漏れも見逃さない姿勢が重要です。
真空引きと保持
所定の深度まで真空引きし、一定時間保持して圧力上昇がないかを確認します。湿気が多い現場や長尺配管では、真空引きの時間と回数を増やすと安全です。
断熱・被覆と屋外仕上げ
断熱は省エネと防露の要。屋外では耐候性を確保し、紫外線や風雨から長期的に守る仕上げが必要です。
断熱厚と継ぎ目処理
温度差や湿度条件に応じた断熱厚を選び、継ぎ目は隙間なくテーピングします。屋外はさらに耐候シートやカバーで保護し、端部からの水侵入を防ぎます。
支持金具・防振と騒音対策
支持間隔は配管径と重量に合わせ、共振を避けるよう配置します。防振ゴムやフレキシブル継手を適所に用い、運転時の配管鳴きを抑制します。
試運転と最終確認(チェックリスト)
設置方法の仕上げは、数値と目視の両面からの確認です。試運転で所定の温度・圧力・電流値を確認し、異音・振動・漏れ・結露の有無を点検します。
チェックすべき項目
・配管長・高低差がメーカー許容内か
・フレアの締付トルク、油滲みの有無
・窒素試験圧と保持時間、真空度と保持結果
・ドレン勾配、通水試験、臭気対策
・断熱の破れや露出、化粧カバーの納まり
・室外機の水平・防振、吸排気クリアランス
・帳票・写真記録とラベリング
引き渡し時の説明
フィルター清掃やドレン点検の頻度、室外機周りの通風確保、異音・異臭時の連絡先など、ユーザーができるメンテ項目を分かりやすく伝えます。取扱説明書と工事報告書はセットで保管していただきます。
よくある失敗と防止策
最後に、設置方法で起こりがちな失敗と、その回避策を整理します。設計と施工、どちらのフェーズでも「なぜ」を押さえる姿勢が品質を高めます。
曲がり過多・ルートの無理
圧力損失とオイルリターン不良の原因です。曲がり回数を減らし、必要ならルートを再設計。立上がりにはサイフォンループで油戻りを確保します。
トルク管理不足・工具不備
締め過ぎや締め不足は漏れの最大要因。必ずトルクレンチと規定値を用い、OJTで締付け感覚を標準化します。
ドレン逆勾配・通気不足
目視しづらいため見落としがち。水平器で逐次確認し、長距離は通気や中継を設けます。試運転前の通水テストをルーチン化しましょう。
まとめ:正しい設置方法が設備寿命と省エネを左右する
空調配管の設置方法は、準備・位置決め・加工・接続・試験・断熱・仕上げ・記録という一連の積み重ねです。各工程を丁寧に進めれば、性能を引き出し、漏れや結露・騒音といったトラブルを未然に防げます。最短距離・正確な勾配・トルク管理・気密試験・適正断熱——この5点を外さない施工が、長寿命と省エネの近道です。ユーザーにとってもメンテしやすい納めを意識し、将来の更新まで見据えた設置を心がけましょう。
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