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ー空調配管の設計で失敗しないための基本ポイントと注意点ー
2025.12.12

空調配管の設計が重要な理由
空調配管の設計は、エアコン本体の性能と同じくらい大切です。どれだけ高性能な機器を選んでも、配管のルートや太さ、勾配の取り方が適切でないと、冷暖房の効きが悪くなったり、電気代が無駄にかかったりしてしまいます。特にオフィスや店舗、工場などでは、空調の効きが作業効率やお客様の満足度にも影響するため、初期段階からしっかりと空調配管の設計を行うことが重要です。
空調配管の設計では、「今快適に使えるか」だけでなく、「将来の運用やメンテナンスのしやすさ」も考える必要があります。配管の増設やルート変更が必要になったとき、余裕のない設計だと工事が大掛かりになりがちです。長期的な視点で計画しておくことが、トータルコストの削減にもつながります。
快適性と省エネ性能に直結する
空調配管の設計が適切であれば、各部屋に必要な冷暖気がムラなく届きます。逆に、配管が長すぎたり曲がりが多すぎると、圧力損失が大きくなり、設定温度に達するまで時間がかかります。その結果、空調機がフル稼働し続ける状態になり、電気代が高くなってしまいます。
また、配管の断熱が不十分だと、配管の途中で熱が逃げてしまい、冷気や暖気のロスが発生します。適切な配管径とルート、断熱材の選定は、「快適さ」と「省エネ」の両方に関わる大切な要素です。
施工性・メンテナンス性にも影響
配管の通り道を無理に詰め込んでしまうと、施工時に手間がかかるだけでなく、あとから点検や修理を行う際にも大きな負担になります。天井内やシャフト内にまったく余裕がないと、わずかな補修でも天井を大きく開口しなければならない場合があります。
空調配管の設計段階で、将来の点検口の位置や、バルブ・継手などメンテナンスが必要な部位までアクセスできるかをイメージしておくことが大切です。「どう施工するか」「どう直すか」まで考えた設計が、長く安心して使える空調設備につながります。
空調配管の設計で押さえたい基本の考え方
空調配管の設計と聞くと、専門的な計算が必要なイメージがありますが、現場で大切にされている基本の考え方をおさえるだけでも、計画の質は大きく変わります。ここでは、配管ルートの決め方や配管径の考え方など、初心者の方にもイメージしやすいポイントを取り上げます。
配管ルートの計画とゾーニング
まず重要なのが、どのエリアにどのように配管を通すかという「ルート計画」です。できるだけ配管が短く、曲がりが少なくなるようにルートを検討することで、圧力損失を抑え、空調効率を高めることができます。
その際に意識したいのがゾーニングです。例えば、日射の強い窓側ゾーンと、室内中央のゾーンでは、必要な冷暖房負荷が変わります。同じ系統の配管でまとめてしまうのではなく、負荷の似ているエリアごとに系統を分けることで、無駄の少ない運転がしやすくなります。
圧力損失と配管径の考え方
空調配管の設計では、配管内を流れる冷媒や空気の量に応じて、適切な配管径を選ぶことが大切です。細すぎる配管では圧力損失が大きくなり、機器に負荷がかかります。反対に太すぎる配管はコストが増えるだけでなく、スペースの確保も難しくなります。
基本的には、メーカーが示している推奨配管径や最大配管長、許容曲がり回数などの条件を守ることが第一です。カタログや設計資料をよく確認し、条件を超えないように系統の分け方やルートを調整していきます。
具体的な設計時のチェックポイント
ここからは、空調配管の設計を行う際に意識しておきたい実務的なチェックポイントを紹介します。設計図を確認するときの視点として役立ててください。
勾配・ドレン処理のポイント
冷房運転時には結露水が発生するため、ドレン配管の勾配設計はとても重要です。十分な勾配が確保できていないと水がたまり、逆流や詰まりの原因になります。天井高や梁の位置、他設備との干渉を踏まえて、無理のない勾配を確保できるルートを検討することが大切です。
また、ドレンの合流位置や排水先も事前に決めておく必要があります。あまりにも多くの系統を一箇所に集めてしまうと、詰まりが発生したときの影響範囲が広がります。適度に系統を分散させつつ、清掃や点検がしやすい位置にドレン配管をまとめる工夫も有効です。
騒音・振動を抑える配管設計
配管を固定する支持金物の位置や本数が少なすぎると、運転時の振動が配管全体に伝わり、天井や壁を通じて騒音の原因になることがあります。特に、寝室や会議室、スタジオなど、静粛性が求められる部屋の近くを通る配管は、支持方法やルートに一層の配慮が必要です。
防振ハンガーの使用や、振動源となる機器から一定距離をとる、曲がり部分での固定位置を工夫するなど、設計段階でできる対策はいくつもあります。図面上で騒音リスクが高そうなルートがあれば、早めに見直しておくと安心です。
メンテナンスアクセスを確保する
配管設計では、点検口や機器周りのスペースを十分に確保しておくことも重要です。バルブや継手、機器接続部など、将来漏れや劣化が起きやすい場所には、工具を入れられるだけの空間と、人が手を伸ばせる余裕を残しておく必要があります。
特に、天井内に配管が集中する建物では、どこからでもアクセスできるわけではありません。限られた点検口から必要な箇所に手が届くかどうか、想像しながらルートと機器配置を決めることが、長期的な安心につながります。
設計段階からトラブルを防ぐための工夫
最後に、空調配管の設計段階でトラブルを減らすための工夫をいくつか紹介します。丁寧に行うことで、完成後の「想定外」を大きく減らすことができます。
BIMや3Dモデルでの干渉検討
近年では、空調配管の設計でもBIMや3Dモデルを活用するケースが増えています。構造体や電気配線、給排水配管など、他の設備との干渉を立体的に確認できるため、平面図だけでは気づきにくい問題を事前に発見しやすくなります。
天井内のスペースが限られている建物では、配管径やルートをわずかに変えるだけで施工性が大きく改善することもあります。3Dで全体を俯瞰しながら検討することで、バランスのよい配管計画が立てやすくなります。
施工会社・設備担当との情報共有
図面上ではきれいに見える配管ルートも、実際の現場条件を踏まえると施工が難しい場合があります。そのため、設計段階から施工会社や設備担当者と情報共有し、現場目線での意見を取り入れることが大切です。
例えば、「この梁は思ったより出っ張っている」「このスペースは将来別の設備に使いたい」といった情報は、図面だけでは分からないことも多いものです。設計者と施工者が早めにコミュニケーションを取りながら空調配管の設計を進めることで、完成後も使いやすい設備に近づきます。
空調配管の設計は、一見すると専門的な世界に感じられますが、基本となる考え方は「快適で、省エネで、メンテナンスしやすいルートを選ぶこと」です。こうした視点を押さえて計画を進めていけば、長く安心して使える空調設備づくりに大きく近づくことができます。
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